労使トラブル110番
出向したがらない職員の対応
Q
職員に出向の内示を出したところ、本人が難色を示し、下記のような条件を提示してきたのですが、法人として対応しなくてはいけないのでしょうか?
① なぜ私が出向するのか(他の職員ではないのか)理由を明確にしてほしい
② 出向先で宿直がなかったとしても、現在の宿直手当2回分の金額を補償してほしい
③ 通勤時間が増えるので、その時間分の給与を出してほしい
④ 人間関係構築や仕事を覚えるなど負担が大きいので、「出向手当」を出してほしい
A
【出向理由は明確にする必要がある】
就業規則には、「会社は、業務上の都合によって社員に出向を命ずることがある。社員は正当な理由なくしてこれを拒むことが出来ない」といった規定があると思います。また、出向期間中の労働条件、出向期間、勤続年数の取扱い、復帰の取扱い等について労働協約や就業規則に具体的に記載することも必要です。こうした定めがあれば、必ずしも本人の同意を得なくても出向させることは可能とされています。
なお、労働契約法では「出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする」と定められています。権利の濫用と認められないために、本人の①の要望「なぜ私が出向するのか明確にしてほしい」には明確に答える必要があるでしょう。説明を怠ると出向命令自体が無効とされるリスクがあります。
【出向中の手当について応じる義務はない】
一方、②~④の要望については、法的に必ず応じる必要があるものではありません。就業規則等に出向中の手当について定めがあれば、その定めに従って対応することになります。
②宿直手当の補償・・・宿直手当は実際の勤務に対する対価であるため、不支給となっても不利益変更には当たりません。就業規則に特別の補償規定がなければ会社に応じる義務はありません。
③通勤時間分の給与・・・通勤時間は労働時間に含まれません。通常通りの通勤手当支給規定に基づき対応すれば足ります。
④出向手当の支給・・・就業規則に定めがなければ支給義務はありませんが、モチベーション維持や精神的負担への配慮、離職防止の観点から支給を検討することには一定の合理性があります。
なお、就業規則に定めがない場合、慣例的な対応や、異動の場合の取り扱いも参考にしたほうがよいでしょう。
