労使トラブル110番
診療報酬の「ベースアップ評価料」を職員にどう支給する?
Q
医療機関です。今年度から「ベースアップ評価料」を算定することになりました。この収入は全額、職員の賃上げに充当する必要がありますが、支給方法は「基本給のベースアップ」と「毎月の手当」のどちらでも認められています。
労働組合からは基本給のベースアップを要求されていますが、基本給を上げると賞与や退職金まで連動して上がってしまうため、原資が足りなくなるのではないかと踏み切れずにいます。どう対応すべきでしょうか?
A
【ベースアップ評価料とは】
物価高騰や最低賃金の上昇、深刻な人手不足への対策として新設された「ベースアップ評価料」。医療機関は販売価格を昇給に転嫁することが難しいため、診療報酬の枠組みで賃上げの原資が担保されました。
今後、段階的な引き上げも予定されているため、今から計画的な設計が必要となります。
【支給方法別のメリット・デメリット】
◎基本給のベースアップ
○主なメリット
・職員の安心感・満足度が高い
・組合との合意が得やすい
・求人票の見栄えが良く、採用に有利
○主な懸念点・リスク
・一度上げると、将来的に引き下げが困難
・賞与や退職金が連動し、評価料を超えた「法人の持ち出し(負担増)」が
発生するリスクがある
・賃金表(規程)の書き換えが必要
◎毎月の手当支給
○主なメリット
・評価料の増減や廃止に対応しやすい
・賞与や退職金に連動しないため、予算管理が容易
・給与明細上で「賃上げの効果」が分かりやすい
○主な懸念点・リスク
・職員の安心感に欠ける可能性
・組合の反発を招く可能性
・賃金規程の改定(手当新設)、給与システムへの手当追加など、初期の事務的な手間
【今後の対応策】
とくに基本給が賞与や退職金と連動している場合、「ひとまず手当で支給する」という選択をして様子を見る事業所が多いと思われます。
ただし、今後の評価料増額を見据えて、この機会に、基本給と連動しない各賃金制度の見直しに着手するのも一つです。
(例)
①退職金制度の見直し: 基本給連動型から、勤続年数や役職に応じた「ポイント制退職金」などへ移行。
②賞与制度の見直し: 「基本給×○ヶ月」ではなく、業績や人事評価に連動した配分方式へ変更。
