労使トラブル110番
退職代行から電話が来た
Q
急に退職代行会社から電話があり、当社の従業員の退職意思を伝えてきました。
・2週間後の〇月〇日に退職する
・明日から有給休暇に入る
・消化しきれなかった有給休暇は買い取ってほしい
・私物は自宅に着払いで送ってほしい
といった趣旨の内容でした。
そういえば、先日、退職代行業社が逮捕されたというニュースを見ました。今回は別の業者のようですが、この業者のやり方はそもそも合法なのでしょうか?
また、本人の要求はすべて対応しなくてはいけないのでしょうか?
A
【退職代行業者とは】
本人の代理で交渉するという代理行為については、弁護士以外には認められていません。弁護士ではない退職代行業者ができる範囲は、あくまで本人の「伝言」をすることに限られています。それだけといえばそれだけのことですが、自分から退職を切り出すのは気が重い、会社から引き留められると困る、そもそも会社担当者と話したくない(そのような気力が残っていない)など様々な理由から、退職代行業者に依頼する人が増えているようです。
ちなみに、2026年2月に「退職代行モームリ」の運営会社代表らが逮捕されたのは、弁護士から紹介料を得ていたことが弁護士法に違反するというのが主な理由のようですが、そもそも退職代行業者が弁護士でないにも関わらず交渉(に近い行為)をしている場合があり、非弁行為に該当するのではないかと以前より問題視されています。
【希望日に退職させなくてはいけないのか】
労働者には退職の自由が保障されています。日本国憲法18条では奴隷的拘束を禁じていますし、22条では職業選択の自由が認められています。
就業規則では「退職する1か月前に申し出ること」などと規定している会社が多いですが、民法では、退職する2週間前に申し入れれば、その日から2週間経過後に退職するということになっており、法律が優先されます。ということで、退職代行業者が伝えてきた「2週間後の退職」自体は受け入れなくてはならないことになります。
【残っている有給休暇はどうするのか】
退職間際の有給休暇の消化については、問題になりやすい点です。通常の有給休暇では、使用者には時季変更権(請求された日に有給休暇を取得されると業務が成り立たないなどの事情があれば、別の日に取得するよう労働者に請求する権利)があります。ただ、今回のように退職直前である場合、「別の日に取得する」ということができないため、時季変更権は認められず、つまり原則は労働者の請求通り取得させざるをえないということになります。
なお、退職後は有給休暇を取得する権利はありませんので、残った有給休暇の買い取りについては拒否してよいでしょう。
【私物を返却する義務はあるのか】
私物は自宅に送ってほしいという要望について、法律上の義務はありませんので、絶対に送らなくてはいけないということはありません。大きな手間でないのであれば送ってあげてもよいと思いますし、自分で取りに来るようにと連絡してもよいでしょう。
