労使トラブル110番
生理休暇の不正取得は防止できる?
Q
当社では「生理休暇」は月1日まで有給で取得可能なのですが、この制度を使用して必ず毎月1日休む職員がいます。60歳近い女性なのですが、正直なところ、「この年齢で毎月業務が困難なほどの生理があるものか?」と疑問に思います。実際に同僚からも不満が出ている状況です。本人に医師の受診をすすめたり、診断書を持ってくるように指示したりするのは問題ないでしょうか。
A
【生理休暇を使える人とは?】
労働基準法第68条では「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときには、その者を生理日に就業させてはならない」と定められています。
生理は一定の年齢で終了するものではありますが、個人差が大きいため、生理休暇に年齢制限は設けられていません。
では、「生理で就業が著しく困難」であることをどのように確認するのでしょうか。
厚生労働省から下記のように通達が出ています。
① 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したとき、その者を生理日に就業させてはならないが、その手続を複雑にすると、この制度自体は使われなくなるおそれがあること、
② 原則として特別の証明がなくても女性労働者の請求があった場合には、生理休暇を与えることにすること、
③ 特に証明を求める必要が認められる場合であっても、こうした趣旨を踏まえ、医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく、事実であることが推断できれば充分であるから、例えば同僚の証言程度の簡単な証明によることで差し支えない。
つまり、医師の診断書を求めることは原則できないということです。受診を勧めること自体は違法ではありませんが、「本当に生理休暇を取る必要があるのか?」という問いを向けることになりますので、慎重になったほうがよいでしょう。
なお、生理休暇中に旅行していたことが判明するなど、明らかな不正取得があった場合には、生理休暇の取消しや就業規則に基づく処分が可
【生理休暇の不正取得防止対策案】
1)生理休暇についての研修や文書配布(全体に向けて)
・生理休暇の意味
・生理休暇の勤怠の扱い
・生理が辛い場合の相談窓口(産業医、婦人科等)
※制度の周知・促進を図りつつ、不正利用を控えるよう呼びかける形が望ましいでしょう。
2)生理休暇を無給にするor有給70%等とする
法律上、生理休暇を有給とする義務はなく、無給での運用も可能です。無給化すれば取得数は大幅に減ることが予想されます。また、完全無給ではなく、日割給与の70%を支給するなどの取り扱いも可能です。ただし、現在有給として運用している場合は不利益変更となるため、別途特別休暇を付与するなど不利益とならないような措置が必要です。また、労使合意のプロセスも慎重に進める必要があります。
3)生理休暇の名称変更
生理のつらさは個人差が大きく、またPMSや更年期症状など、生理以外の不調を抱える人もいます。そのため、「生理休暇」を「ウェルネス休暇」などに名称変更し、月1回まで有給で誰でも体調不良やメンテナンス目的で休める制度とする案もあります。ただし、生理による体調不良で休める権利は法律で保障されているため、その点は制度上保障する必要があります。
【生理休暇は母性保護の趣旨から設けられた権利】
女性は生まれながらに、子どもを産み育てるための身体的特徴を備えています。母性保護とは、子どもを産む・産まないにかかわらず、女性の身体的特徴によって生じる月経・妊娠・出産などに対して、社会が適切な保障を行うことを指します。生理休暇制度は、労働や職場環境が原因でこれらの機能が低下したり、健康に障害が生じたりすることのないようにという母性保護の趣旨から設けられたものです。
こうした権利をしっかり守りつつ、社内で不公平感が生じないようにするためには、制度の周知や他の休暇制度とのバランスを調整していくことが求められるでしょう。
