労使トラブル110番

育児短時間勤務 本人の希望する時間を認めなければならないのか

                       

Q
 子どもが1歳で、もうすぐ育児休業から復職する従業員がいます。通常の所定労働時間は9時~18時ですが、本人の希望の働きかたは、保育園の送迎のため、9時~15時で休憩1時間、実働5時間の時短勤務とのこと。
 彼女の所属する現場は比較的夕方の時間帯が忙しいので、15時に一人帰ってしまうとなると、他の従業員から不満が出ると思います。本人の希望する時間を認めなければならないのでしょうか?


A

【育児短時間勤務(時短)の対象者】


 3歳未満の子を養育する労働者のうち、以下の要件を満たすものが育児短時間勤務の対象となります。
 ・日々雇用されるものでないこと
 ・1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
 ・短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていないこと

※労使協定を締結している場合に、育児短時間勤務が対象外となる労働者は以下の通り。
 ・継続雇用1年未満の労働者
 ・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
 ・業務の性質等に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

 ご相談の従業員のお子さんは1歳ということですから、上記の条件をクリアする限り、育児短時間勤務(時短勤務)制度の対象となります。つまり本人の時短の申し出を拒むことはできません。


【時短の時間は就業規則を確認する】


 とはいえ、9時~15時・実働5時間という本人の希望の時刻までそのまま認めなくてはならないわけではありません。育児・介護休業法施行規則では、1日の所定労働時間を原則「6時間」とする措置を含む時短制度の整備の義務があるとされています。就業規則などで育児短時間勤務の所定労働時間を設定していると思いますので、まずはそれを確認するのがよいでしょう。また、もし就業規則に書かれていないようなら、これを機に検討してください。

●就業規則の記載例
記載例①
 「所定労働時間を9時から16時まで(うち休憩時間は、12時から13時までの1時間。)の6時間とする。」

記載例②
 「所定労働時間は、下記A~Cのいずれかを本人が選択することとする。
   A 8時~15時(休憩12時~13時) 6時間勤務
   B 9時~16時(休憩12時~13時) 6時間勤務
   C 10時~18時(休憩12時~13時) 7時間勤務」

記載例③
 「所定労働時間について、1日6時間勤務、6時間半勤務、7時間勤務のいずれかを選択することとする。始業時刻及び終業時刻は本人の申し出により、会社が認めた時間とする。」

 原則は所定労働時間を「6時間」にする制度ですので、ご相談の従業員が希望する「5時間」という選択肢はそもそも設定していない会社が大半でしょう。就業規則上選択できるようになっていれば認めざるをえませんが、そうでなければ希望通り認めなくても問題はありません。時短勤務で選択できる始業終業時刻を本人に説明しましょう。


【出勤時刻を遅らせる時短勤務も可能なのか】


 育児短時間勤務は「他の人より早く帰る」という設定が多数を占めます。早めに帰って子供を迎えに行ったり、習い事の送迎をしたり、家事を済ませたりする等のニーズが高いという背景から、そのような設定が一般的になったのでしょう。
 今回ご相談の事業所は、むしろ夕方の時間帯に人手がほしいという状況です。こうした場合、「他の人より遅く来る(帰るのは通常の終業時刻)」といった時短の設定についても可能です。就業規則上、時短勤務の時刻をそのように記載する必要があります。


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