労使トラブル110番

確定拠出年金を就業規則にどのように定めるか

                       

Q
 このたび当社は確定拠出年金を導入することを検討しています。就業規則でどのように規定したらいいか、アドバイスをお願いします。


A

【確定拠出年金にもいくつかの種類があります】


 確定拠出年金は、加入者自身が運用方法を決定し、運用成果により受け取る年金額が変動する年金制度です。確定拠出年金には「企業型DC」と「個人型DC」(愛称:ⅰDECO)があり、企業の退職金制度等との関係でどちらかを選択・採用することになり、それによって就業規則の定め方も変わってきます。
 「企業型DC」の加入対象者は、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入者となることができます。掛金は、原則として企業が拠出しますが、規約の定めによって加入者も拠出することができます。一方、「個人型DC」は、65歳未満の国民年金の被保険者であれば加入でき、掛金は各個人が拠出することになります(中小事業主掛金納付制度により、拠出限度額の範囲内で事業主拠出も可能。愛称:ⅰDECO+)。


【拠出限度額の定めに基づき拠出金を決める】


 拠出限度額は、「企業型DC」は、他の企業年金の導入がない場合は月額5.5万円、導入がある場合は2.75万円です。「個人型DC」はさらに細かく定められています。採用する制度により限度内の任意の金額を拠出する方式でも、一定の段階を作ってその段階のいずれかを選択してもらう方式でもいいと思います。


【資産運用】


 前述のように、加入者が資産の運用方法を決定し、それによって受け取る年金額が変わる制度です。会社は選択肢をいくつか示し、その中から選択できるようにします。


【給付金の内容】


 60歳になった時に老齢給付金を受け取ることができるようにします。その際、年金として受け取こともできますが、一時金として受け取ることもできる(一部を年金、一部を一時金として受け取ることもできる)ようにし、その選択を従業員が決めることになります。
 また、障害給付金、死亡一時金などの給付もあります。


【離転職年金資産の持ち運び(ポータビリティ)】


 従業員が受給資格を得る前に転職・退職した場合には、自分の確定拠出年金の個人別管理資産を、ⅰDECO、通算企業年金、企業型DC(転職先で導入している場合)、DB(転職先で導入かつ条件を満たした場合)へ持ち運びが可能であり、会社の定めにより速やかに移管を行うことができます。

 概ね以上のことを就業規則あるいは退職金規程または確定拠出年金細則として定めることになります。


【メリットデメリットを踏まえて検討する】


 確定拠出年金では、事業主掛金を全額損金算入できます。従業員の拠出金も全額非課税です。給付についても、年金は公的年金等控除、一時金は退職所得控除が受けられます。これらの税制優遇措置があります。
 一方、従業員に十分説明する必要があります。運用次第で将来の給付額が変動しますから、元本割れ資産目減り等のリスクもあります。



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