労使トラブル110番

日給月給制を採用しているが、月給制を望む声が出ている

                       

Q
 建設業です。弊社は長く日給月給制を採用してきました。一定額の固定給にプラスして働いた日数分の額が加算される方式です。この間、若い世代の従業員から、「月給制にしてほしい」という要望が出されています。どう対応するのが良いかご意見を下さい。


A

【日給月給制とは】


(1)基本給が一日当たりいくらの定額給であれば日給制、一カ月当たりで定められたなら月給制と言われます。また、一年あたりで定められる年俸制もあります。出来高に応じて定まる出来高給(歩合給)などいろいろな決め方があります。

(2)日給月給制とは、1日を計算単位として1日当たりの単価をあらかじめ決めておき、遅刻・早退・欠勤があった場合その分を控除する給与形態です(もちろん、会社によって名称やシステムの違いがあります)。1ヵ月分の給与は、会社が定めた給料日に支払われます。一定額の固定給があり、その上で働いた日数分だけ給与額が増えます。一方、景気が悪化するとき、閑散期がある場合の閑散期、勤務日数が少ないゴールデンウイークや年末年始の時期、天候の悪化が続く月などの条件があると、収入が大きく減る可能性もあるため不安定さは免れません。

(3)建設業界では日給制が長い間スタンダードでした。出動した日数分稼げるというので、職人側もやりがいを感じやすい仕組みでした。しかし、時代は大きく変わり、社会保険加入が厳格に求められるようになり、若い世代はより収入の安定を求め始めています。人手不足で大変な建設業界において、従来通りの制度でいいのか、検討が必要です。なお月給制には、遅刻・早退・欠勤等があった場合その分を控除するというものと、固定的に支給する固定月給とがあります。


【どのように導入するか。就業規則規定例】


 ではどのように導入したらいいでしょうか。給与制度の問題ですから、就業規則の変更(従業員数10人未満のところはそれに準ずるもの)が必要です。
 例えば現行制度である日給月給制は残しながら、①一定年度以降に入社した者には月給制とする、あるいは②月給制を希望する者は月給制とし、従来通りを希望する者は日給月給制とするという決め方もあるでしょう。②のパターンで就業規則の規定例を考えてみましょう。

(基本給)
第○条 基本給は日給月給制または月給制とする。いずれの制度においても、遅刻・早退・欠勤等の場合は、その時間・日数分を給与から控除する。いずれの制度を採用するかは、本人の希望をもとに決めることとする。
2 基本給の単価(日給月給制においては固定給部分と日給単価、月給制の場合は月給額)は、一人ひとりの従業員の年齢、熟練度等を踏まえ、個別に決める。


【割増賃金は必ず払う】


 日給月給制をとろうが、月給制をとろうが、法定労働時間を超えた場合や休日労働が発生した場合は、割増賃金を支払わなければなりません。日給月給制の場合は、「固定給プラス日額単価」をベースにして割増賃金を計算します。月給制の場合は月額賃金がベースになります。
 あたかも日給月給制だから割増は払わなくてもいいかのような誤解がありますのでくれぐれも注意してください。



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