労使トラブル110番

休業等の様々な場面で支払うべき賃金とは?

                       

Q
 雨が降った日に外での仕事がないため休業させることがあります。また、退職間際の有休申請などのケースも多いです。これらの場面で支払うべき賃金について、どのように考えればいいのでしょうか。


A

【平均賃金とは何か】


 労働基準法では、解雇の場合の予告手当(20条)、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合の休業手当(26条)、労働災害の場合の補償(76条~82条)を、いずれも「平均賃金」の一定日数分または一定割合として定めています。これらはいずれも労働者の生活を保障するための支給ですから、その尺度となる「平均賃金」は、労働者の通常の生活資金をありのままに算出するという観点から算定されなければなりません。したがって、以下のような算出の仕方をとります。
 算定事由発生日(賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日)以前の3ヵ月間の賃金総額を、その期間の総日数で除して算出されます(12条1項・2項)。しかし、その3ヵ月間に業務上の負傷・疾病による療養期間、産前産後の休業期間、使用者の帰責事由による休業期間、育児介護休業法による休業期間または試用期間が含まれている場合は、その期間の賃金を算入すると賃金総額が異常に少なくなるので、その日数・賃金は除外されます(3項)。またその3ヵ月の間に、臨時の賃金や賞与が支払われた場合には、これらが通常の生活資金ではないという理由から賃金総額から除外されます(4項)。さらに、この期間中に自己都合の休業(欠勤)が多く賃金総額が異常に少なかったような場合のために、労働日当たりの賃金の60%を最低保障額としています(1項但書)。


【場面ごとに支払うべき賃金は?】


<解雇予告手当>
 労働者を解雇する場合、30日前に予告するか、予告に代えて、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。この場合、予告日数を平均賃金と換算することができます(例えば、平均賃金15日分を支払って、15日前に予告することができます)。

<休業手当>
 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は、休業期間中労働者に「平均賃金の100分の60以上」の休業手当を支払わらなければなりません。「使用者の責に帰すべき事由」は広い範囲で解釈されています。天災事変等の場合は別として、親会社の経営難が事由であっても、天候不順の場合も「使用者の責」とされます。

<災害補償>
 労働基準法では、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合には、療養補償として必要な療養を行い、又は療養の費用を負担し、その療養のために労働することができないため賃金を受けない労働者に対しては、療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならないとしています。なお、労災保険による給付がなされた場合には、労災保険で支給される休業補償給付支給される期間が災害の日から4日目からであることから、待期期間である3日間については使用者が休業補償を支払うことになります。


【有給休暇期間中の賃金】


 使用者は、年次有給休暇の期間又は時間については、就業規則等で定めるところにより、①平均賃金、②通常の賃金、(①または②の場合、時間単位年休の場合はその日の所定労働時間数で除して得た金額)、③労使協定により健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額、のいずれかを支払うことになります。



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