労使トラブル110番
人手不足時代の採用の強化策を考える
Q
弊社は建設業で、ある程度特殊な分野の仕事をしているからだと思いますが、次から次と仕事の依頼が来ます。ところが、人手不足のため対応できず、依頼を断らざるを得ない状況が生まれています。この間、フリーランス(演劇や音楽などの仕事をしている方)の組織化の努力を行ってきて、具体的には「仕事をできる日(あるいは仕事を希望する日)」を聞いて、それに合わせて正職員と一緒のシフトを組むというやり方を取っています。残念ながら、正社員の確保はなかなか進んでいません。なにかアドバイスをいただけないでしょうか。
A
【フリーランスの組織化は貴重な取組】
貴社が行っているフリーランスの組織化の経験は貴重です。演劇活動や音楽活動などを行っている方たちは、公演やイベントの合間にアルバイトをして生活を維持されている方が多く、「働くことが可能な日」に働いてもらうという組織化は貴重な取組み、経験だと思います。また、後々その方たちが正社員になる可能性もあると思います。
ハローワークなども活用し、もっと広くそういう働き方ができる人を募集してみてはいかがでしょうか。就職氷河期世代の方たちや、中途退職者なども応募される可能性があると思います。
【週休3日制を選択肢のひとつに】
同時に最大の課題は正社員をどう採用していくかです。
現在の就労時間はおそらく1日7~8時間、週5日勤務で35~40時間労働というパターンと思います。最近の青年などの動向として、「休日数を増やしてほしい」という要望が多いようです。例えば、週休3日制にして、1日8時間~10時間、週4日勤務で週32~40時間労働というパターンを選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか。「休みを増やしてほしい」という要望の中には、余暇を増やしてほしいというのもありますが、副業を考えている方もいます。
ただし、1日8時間を超える就労時間とするためには、1カ月単位あるいは1年単位の変形労働時間制を採用する必要があります。労使協定又は就業規則で、変形労働時間制の採用を明記し、1年単位の変形制を採用する場合には監督署に労使協定を提出する必要がありますので、注意してください。
【準社員制度も検討してはどうでしょうか】
社会保険加入義務があるのは、原則として正社員の4分の3以上の就労時間の者となっています。正社員が週40時間労働ならば、週30時間以上の就労時間の者が対象になるということです(但し、100人以下の従業員数の事業所の場合で、令和6年10月以降は50人以下の従業員数の場合。100人超の企業の場合は週20時間以上の就労時間の者が社会保険加入対象者となる)。
このことを踏まえて、週30時間労働という選択肢を設け、その場合準社員という位置づけにするという選択肢もあると思います。これも副業などを考えている人にとっては就労しやすい形態だと思いますし、また本人の希望によりフルタイム勤務への移行の余地を作ってあげてもいいと思います。
このようにフリーランスの組織化の経験を生かして、正社員の採用においてもいろいろなパターンを作っていくことが採用の強化にもつながると思います。ご検討ください。