労使トラブル110番
法定休日から継続して平日勤務となった場合の割増賃金の計算
Q
アルバイト勤務で、日曜日の9時から翌月曜日の12時30分まで勤務した場合、すべての時間が休日労働と扱われるのでしょうか?割増賃金の計算がよくわかりません。なお、日曜日は法定休日としています。
A
【2暦日の渡る労働と法定休日労働の関係を整理する】
(1)まず2暦日に渡る労働、つまり当日から夜12時を超えて翌日にまで及んだ労働のことですが、この場合当日からの労働の継続した労働と扱われます(2日間の別々の労働とはならない)。もし継続した労働が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合には、超えた部分は1.25倍以上の割増賃金を支払うこととなり、かつ、22時から5時までの深夜時間帯については0.25の深夜割増を加算することとなります。
(2)その際、法定休日(事例の場合は日曜日)から継続して月曜日にまで及んで労働した場合の扱いは(1)の原則とは少し違ってきます。労働基準法は、法定休日労働と時間外労働とを峻別しており、休日に8時間を超える労働をしてもあくまでも休日労働として扱います。いうまでもなく1日は午前0時から夜12時までの24時間を指します。ということは、法定休日(日曜日)から継続して翌日(月曜日)まで労働しても、休日である夜12時までは1.35倍以上の割増賃金であり、月曜(午前0時)からの労働は日曜からの労働から継続してカウントするのではなく、月曜の午前0時からの労働が時間外労働であるかどうかを判断することになります。
(3)一方、深夜の時間帯の労働は休日であろうが、休日以外であろうが0.25を加算します。休日の深夜時間帯の労働は「1.35+0.25=1.6」以上の割増賃金を支払わなければなりません。
この考え方を整理した通達を紹介します。
記
暦日休日の場合の休日労働及び時間外労働の取扱い
労働基準法(以下「法」という。)第三十五条の休日は原則として暦日を指し、午前0時から午後十二時までをいうものであるが、当該休日を含む二暦日にまたがる勤務を行った場合の法三十七条にもとづく割増賃金を支払うべき休日労働及び時間外労働の考え方は次のとおりである。
①休日労働となる部分の考え方
法定休日である日の午前0時から午後十二までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。
したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後十二までの時間帯に労働した部分が三割五分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。
②時間外労働となる部分の考え方
①で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。この場合、一日及び一週間の労働時間の算定に当たっては、労働時間が二暦日にわたる勤務については勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う。(平6・5・31基発331号)
【事例のケースに当てはめると】
事例のケースに当てはめると次のようになります。
①日曜日9時~22時(休憩時間を除く):割増率1.35倍以上
②日曜日22時~24時:1.35+0.25=1.6倍以上
③月曜日午前0時~12時30分(休憩時間を除く):法定労働時間(8時間)以内については割増なし、8時間を超える部分については1.25倍以上
なお、以上はあくまでも就業規則の定め等は考慮せず、法律上の最低限の定めについての考え方です。就業規則で、法定休日以外の休日(所定休日)も休日労働として扱うという定めをしているとか、法定休日について日曜日以外の別の定めをしているとかもありますから、その場合は就業規則の定めに基づいて決めるようにして下さい。