出向後の労働関係は、理論的には、出向先にも労働契約が成立し、出向元との労働契約と併せて二重の労働契約が成立します。二重の労働契約の意味は、契約上の権利義務が重複して出向元と労働者間、出向先と労働者間に存在しているのではなく、契約上の権利義務が出向元と労働者間、出向先と労働者間に分かれて存在していると考えます。
したがって、出向元の就業規則は全面的に出向者に適用されず、その出向の形態によって一部凍結される部分が存在するし、また出向先の就業規則も出向元と労働者間から、出向先と労働者間に移転した部分の権利義務に相応する部分が適用されることになります。本来、出向は、労働者に出向元に在籍したまま出向先において出向先の指揮命令下で労務を提供するということですから、次のような適用関係にあると考えます。
① 労務提供を前提としない部分については、出向元の就業規則の適用がある。
② 労務提供を前提とする部分については、出向先の就業規則の適用がある。 そうすると、たしかに「労働時間、休憩、休日及び有給休暇部分」は出向先の就業規則の適用を受けるというのが一般的考え方です。