労使トラブル110番

自宅でのテレワーク勤務における労働時間管理



Q
この2年余にわたり自宅でのテレワーク勤務を基本として働いています。「みなし労働時間」が基本だということで始業・終業時刻、休憩時間の管理があいまいで、結局深夜に及ぶ勤務もしばしばで、残業代の請求もできておらず、最近は体調不良が気になり始めています。



A

【テレワーク勤務の功罪】


 コロナ禍が長く続き、長い期間に及んで在宅でのテレワーク勤務をしている方も増えています。在宅でのテレワーク勤務は、何よりコロナ感染リスクを軽減できます。また、通勤時間がないためかなり時間的余裕が生まれるというメリット、子育て等の家事に費やす時間も取りやすいなどさまざまなメリットがあります。
 一方、通常勤務と違い職場の上司や同僚との意思疎通、意見交換が制約される、始業・終業時間や休憩時間と私的な時間との区別があいまいになりがちで、会社のシステムよっては労働時間の管理ができなくなってしまうケースもあります。
 あなたのケースもそういうデメリットを被っておられるようです。とくに体調不良が生まれ始めているということは、業務量の軽減も含めて上司とよく相談されて解決を図ることが必要と思います。


【「事業場外みなし労働時間制」の適用をめぐって】


 在宅勤務の場合、買い物等に出かけるなどの業務中断時間をどこまで管理するのか、短時間の中断時間であればある程度本人の自由な扱いを認めるのかという問題が発生します。10分20分程度の中断であれば、いちいち管理せず自由な裁量を認めるとしている会社も多いようです。もちろん厳格に管理するよう記録を義務付けている会社もありますが、監視カメラを設置することまですることは抵抗もあると思います。
 「事業場外みなし労働時間制」は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、使用者の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で業務に従事することとなる場合に活用できる制度です。この適用を受けた場合には、労働者はある程度自由な働き方をでき、柔軟にテレワークを行うことが可能です。政府のテレワークの「ガイドライン」でもその適用を認めています。ただし次のような条件を課しています。

① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
 ・勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合
 ・労働者が情報通信機器から自分の意思で離れることができ、
(使用者との)応答のタイミングを労働者が判断することができる場合
 ・会社支給の携帯電話等を所持していても、その応答を行うか否か、
又は折り返しのタイミングについて労働者において判断できる場合
② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
 ・使用者の指示が、業務の目的、目標、期限等の基本的事項にとどまり、
一日のスケジュールをあらかじめ決めるなど作業量や作業の時期、方法等を具体的に特定するものではない場合



【労働時間の管理の仕方】


 テレワークの場合、労働時間の管理があいまいになる場合があります。通常勤務と違い、使用者は勤務状況を現認することはできず、タイムカード等もないためです。こうした下では次のような把握の仕方を取ることを「ガイドライン」は薦めています。
 ①労働者が使用する情報通信機器の使用時間の記録等により把握する
 ②労働者の自己申告による把握
 この場合、使用者は労働者に適正な報告をするよう十分な説明を行うこと(実態との乖離がないかを適時調査をする、上限を設けるなど適正な申告を阻害する措置を講じないこと)。例えば、一日の終業時に、始業時刻、終業時刻をメール等で報告させるなどの方法をとる。
 ③「事業所外みなし労働時間制」が適用される場合は、実態に合ったみなし時間となっているかを労使で確認し、その結果に応じて業務量等を見直すこと


【健康管理措置】


 言うまでもなく、健康診断の実施、健康相談をできる体制の整備、過重労働による健康障害を防止するための医師による面接指導及びその結果を受けた措置、ストレスチェックとその結果を受けた措置など、安全衛生法等に基づく措置は必ず取らなければなりません。  



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