労使トラブル110番

求人票が不受理となる場合とは ~3交替制勤務と1箇月単位変形労働時間制の導入



Q
看護師の勤務時間は、日勤(8:30~17:00)、夜勤(16:45~翌9:15)、遅番(11:00~19:30)の3交替制勤務になっています。
この度、ハローワークに求人票を出しに行ったのですが、職員から「変形労働時間制の協定を結んでいますか?それを監督署に提出していなければ求人票を受理できません」と言われ、求人票をつき返されてしまいました。
いままでこのようなことはなかったのですが、どのように対応したらいいのでしょうか。



A

【求人不受理制度とは?】


 職業紹介事業者は、原則として全ての求人を受理しなければならないとされています。ただし、2020年3月30日から、改正職業安定法の一部や関連する政令・省令・指針が施行され、一定の労働関係法令違反のある求人者からの求人の申し込みなどを受理しないことが可能となります。以下のいずれかの要件に該当する場合です。

① 内容が法令に違反する求人
② 労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当な求人
③ 求人者が労働条件を明示しない求人
④ 一定の労働関係法令違反のある求人者による求人
⑤ 暴力団員などによる求人(暴力団員、法人で役員の中に暴力団員がいる者、暴力団員がその事業活動を支配する者)
⑥ 職業紹介事業者からの自己申告の求めに応じなかった求人者による求人


※④~⑥の要件が、改正職業安定法により追加されました。

※違反した場合に求人の申込みが受理されないこととなる法律の規定とは
…労働基準法、最低賃金法、職業安定法、男女雇用機会 均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法(パワハラに関する措置義務違反)の諸規定です

 さらに、以下の場合には、6カ月又は1年間が経過するまで「不受理期間」として、受理されない期間が置かれます。

〇 1年間に2回以上、同一の対象条項違反により是正指導を受けた場合
〇 対象条項違反により送検され、公表された場合
〇 対象条項に違反し、法違反の是正を求める勧告に従わず、公表された場合



【就業時間の記載が法令違反だった】


 貴法人が求人票を受理されなかったのは、就業時間の記載に法令に違反しているとみなされたためと思われます。3交替制を取る場合、夜勤の勤務時間が16:45~翌9:15ですから、休憩時間(仮眠時間)を除いても法定労働時間を上回っています。求人票の就業時間記載欄には、「該当する場合は選択」として「1.交替制(シフト制)、2.フレックスタイム制、3.裁量労働制、4.変形労働時間制」の該当項目に〇をつけることとなっています。貴法人の場合は、1と4に〇をつけなければならないのが、多分1のみに〇をした(=変形労働時間制の採用をしていなかった)と思います。
 所定労働時間が法定労働時間を超える場合は変形労働時間制を採用しなければ違法な就業時間の設定になります。看護師のような勤務形態の場合、通常は1箇月単位の変形労働時間制を採用しているケースが大半です。なお、よくあるのは、夜中の0時を超えた勤務の場合、0時以降は翌日の勤務時間となると勘違いしているケースです。前日の勤務から継続した勤務は、始業時からの継続した労働として扱われます。


【変形制導入の手続を速やかに】


 今回のハローワークの対応は、あくまでも法令違反状態を解決さえすれば求人票を受理しますということだと思います。向こう6カ月又は1年間受理しないということではありません。したがって速やかに変形労働時間制の採用手続きをとり、必要な書類を労働基準監督署に提出してください。
 具体的には、まず変形制導入に関する労使協定を締結し、協定届を監督署に提出する、そして就業規則にも必要な記載を行い(「以下の業務に従事する者については1箇月単位の変形労働時間制の適用対象とする。変形制の詳細は労使協定によって定める」というような記載です)、就業規則の変更届を監督署に行ってください。



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