労使トラブル110番

育児介護休業法の改正事項への対応



Q
介護事業を営む社会福祉法人です。
この度、東京都労働局より「パートタイム・有期雇用労働法及び育児・介護休業法に基づく報告の徴収」を求められ、送られてきたアンケートを提出したところ、育児介護休業規程に関する「是正・改善報告書」の提出を命じられました。
育児介護休業法はどのような改正が行われてきたのでしょうか?



A
育児介護休業法(並びに男女雇用機会均等法)は度重なる改正が行われてきました。
平成21年改正、平成29年1月改正、同10月改正、令和3年1月改正などです。
多くの会社の育児介護休業規程は作成されてから数年経過しているのが多いと思いますので、これらの法改正に対応していないようです。改正事項をまとめてみます。

1 最大「子が2歳」になるまで取得できる育児休業(平成29年1月、10月施行)


育児休業は原則子が1歳になるまで取得(但し、「パパ・ママ育休プラス」制度により子が1歳2ヵ月になるまで可能)できる制度です。また、保育園に入所できない等の事情がある場合には子が1歳6ヵ月になるまで取得できました
これが、平成29年10月1日以降は、同じく保育園に入所できない等の事情等の場合、子が2歳に達するまで再延長して取得できるようになりました。なお、育児休業の対象となる「子の範囲」が「特別養子縁組の監護期間中の子」や「養子縁組里親に委託されている子」も含めることになりました。


2 介護休業の期間と対象(平成29年1月施行)


①介護休業の対象家族の定義として、同居・扶養の要件が廃止
「同居・扶養の有無に関わらず、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫」であれば対象となります。

②介護休業の期間(回数)は「対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで分割取得」が可能

③有期契約労働者の取得要件の緩和
新しい要件として、①引き続き雇用された期間が1年以上ある、②93日経過日から6ヵ月を経過するまでの間に労働契約が満了することが明らかでない者、は取得できることとなりました。


3 子の看護休暇・介護休暇を時間単位で取得できる(令和3年1月施行)


1年に5日(複数対象の場合年10日)取得できる「子の看護休暇」と「介護休暇」ですが、平成29年1月から半日単位でも取得できるようになりました。さらに、令和3年1月以降は1時間単位で取得できるよう一層緩和されました。また、従来は1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できませんでしたが、時間単位取得が可能となることによってすべての労働者が取得できるようになります。


4 介護のための残業免除制度が新設(平成29年1月施行)


要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合、所定外労働をさせてはならない(=残業免除)という制度が設けられました。これは、その対象家族の介護が終了するまで利用できる制度です。


5 介護のための所定労働時間短縮措置は3年間に2回以上取得可(平成29年1月施行)


従来この措置は介護休業と通算して93日間しか取得できなかったのですが、介護休業とは別扱いとなり、かつ、3年の間に2回以上取得できるとなりました。例えば、「介護休業→労働時間短縮措置→介護休業」などの形で利用できるわけです。この措置は、次のいずれかの措置を選択することになります。

①週又は月の所定労働時間の短縮措置
②フレックスタイム制度
③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
④介護サービスを利用する場合の費用を助成する制度

6 その他の措置・努力義務(平成29年1月施行など)


①子が生まれる予定の方又は家族介護していることを知った時、事業主は関連制度を周知する努力義務
②育児目的休暇の導入促進…小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けるよう努力する義務。(例)配偶者出産休暇、入園式・卒園式などの行事参加など多目的休暇のこと
③妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚などによる就業環境を害する行為を防止するため、雇用管理上必要な措置をとる義務(指針で詳細を規定)




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