通算制度がないイギリスとの社会保障協定| 年金相談の現場から-2025年8月|社会保険労務士法人 オフィスサポート


年金相談の現場から

通算制度がないイギリスとの社会保障協定





 

【2人の相談者】


 ある2人の相談者は、現在61歳(仮称Aさん)と75歳の方(仮称Bさん)で、2人とも若いころの一時期イギリスに行っておられた。
●Aさんは、大学院卒業後20数年間イギリスに在住し、近く老齢年金を支給するとの連絡がイギリスからありました。日本に帰国後うつ病を患い、障害年金の請求をしたところ、年金事務所から保険料納付要件を満たしていないため不支給との連絡が来ました。
 本来、保険料納付要件を判断する際、海外在住期間は除外して、日本に在住した期間のみで判断されるべきです。それを証明する公的文書が戸籍の附票で、厚労省は戸籍の附票と合致した記録を年金事務所に求めています。ところが、住所変更についてきちんとしていなかったこともあり、イギリスに行っていた期間も日本に在住していることとされてしまい、その結果、保険料滞納期間と扱われてしまったわけです。
●Bさんは、若いころにイギリスに一定期間行っていましたが、10年に満たない期間だったため、支払った保険料は帰国したときに返却されました。また、保険料納付期間があまりなく、日本にいる際に支払った保険料が10年に満たないため、老齢年金が支給されていません。  


【通算制度がないイギリスとの社会保障協定】


 日本と他国との社会保障協定の多くは通算制度(外国在住期間に支払った保険料納付期間は、日本の保険料納付期間と通算される制度)があります。ところがイギリスとの社会保障協定には通算制度がありません。
 イギリスは10年の保険料納付期間があれば老齢年金が支給されます。そのため、Aさんには近くイギリスの老齢年金が支給されます。一方、Bさんはイギリスで支払った保険料納付期間が10年に満たないため、イギリスで支払った保険料が返却されました。
 もし通算制度があれば、Aさんの障害年金における保険料納付要件、Bさんの老齢年金の支給要件をそれぞれ満たしていた可能性があります。


【戸籍の附票が変えられないとき】


 海外に行く際にきちんと住民票の移動等の手続きをしていればいいのですが、必ずしもそういう手続きを踏んでいなかったり、他の理由などで別に住所登録が行われてしまったり(不動産登記等の関係で)するので、一応行政上の書類としては戸籍に附票に反映されることになっています。しかしこれが必ずしも実態を反映したものでない場合が多いです。戸籍のある役所に請求すればいいのですが、気を付ける必要があるのは、「戸籍の改製」が行われる時があることです。直近では、平成6年改製というコンピューター化に伴う改製です。これが行われるとその前の記録はすべて失われてしまい、その後の訂正もできなくなってしまいます。

 外国に移住する際は、その国と日本との社会保障協定の内容を確認すること、住民票上の変更手続きをきちんと行うことなどに気を付けてください。

 

※上記は、2025年8月時点の回答です。

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