保険料納付要件の判断と海外在住期間の扱い| 年金相談の現場から-2025年6月|社会保険労務士法人 オフィスサポート


年金相談の現場から

保険料納付要件の判断と海外在住期間の扱い



Q
 私は大学院を卒業後約27年間にわたってイギリスに在住し、通訳などの仕事をしてきました。イギリスでは、永住権も取得し、近くイギリスから老齢年金も支給されることになっています。日本に帰国後、メンタル不調となり、障害年金の請求をしたところ、年金事務所から「保険料納付要件を満たしていない」からと、受け付けてもらえません。海外在住期間の住所地が日本にあると判断され、保険料滞納期間という扱いがされています。どうしたらいいのでしょうか。



  A

【障害年金の3つの受給要件】


 まず基本的なことですが、障害年金を受給するためには3つの受給要件があります。①初診日要件。初診日(最初に病院に行った日のことです)において、国民年金または厚生年金保険の被保険者であること。②保険料要件。被保険者期間全体において保険料納付済期間及び保険料免除期間が3分の2以上であること(逆に言えば保険料滞納期間が3分の1未満であること)。なお、平成8年までの特例として、初診日の前日において、直近1年間に滞納ゼロであること。③障害等級該当要件。原則として初診日から1年6ヵ月経過後において障害等級1・2級(障害厚生年金の場合は3級まで)に該当していること。
 そうすると、あなたは②に保険料納付要件において認定に苦慮されているということですね。  


【被保険者期間全体とは?】


 保険料納付要件では、「被保険者期間全体において」としていますが、あなたは日本の企業の海外支店に勤務していたわけではなく(もしそうならば2号被保険者になります)、海外に住みながら、海外の企業の仕事をされていたわけです。
 国民年金の第1号被保険者とは、「日本国に住所を有する20歳以上60歳未満の者で第2号被保険者および第3号被保険者に該当しない者」のことですから、日本国内に住所を有しない期間=イギリス在住期間は被保険者期間ではありませんので、除外して検討しなければなりません。ということは、イギリス在住期間を除外した「40年-20数年」の期間のうち、保険料納付・免除期間が3分の2以上あれば保険料納付要件を満たしたことになるはずです。


【海外在住期間は実態で判断されるべき】


 そもそも海外在住期間は、形式ではなく、実態で判断されるべきです。つまり、住民票上日本国内に住所地があったとしても、実態が海外在住していればその実態で判断されなければなりません。その際は、パスポートの記録、現地で居住していたアパート等の契約書や公共料金等を支払っていたことなどの証明が必要です。イギリス政府から与えられていた永住権なども重要な資料です。
 とくに戸籍の附票との関係が問題になります。戸籍の附票が変えられればいいのですが、実際は記録の保存期間が過ぎたため破棄されてしまったなどの理由で変更が不可能となってしまっているケースがあります。年金事務所はこの附票との合致を求めてくるでしょうが、そうした事情を説明し、実態に基づく判断を求めていくことが大事です。

 

※上記は、2025年6月時点の回答です。

【個別の状況をご相談ください】
年金制度は複雑ですから、個別の状況をお聞きして、親身に相談にのり、請求実務を承ります。老齢年金、障害年金、遺族年金等、実績は多数あります。

【報酬】
・相談・書類作成料3万円(消費税別)。
・実際に支給決定された場合、上記に加えて、年金額(年額)の2ヶ月分(消費税別)を頂戴します。
・残念ながら不支給となった場合には、3万円以外のお金はいただきません。

【お問合せ】
お気軽にお問合せください。
TEL:03-6280-3925 FAX:03-6280-3926
お問合せフォーム



時言 労使トラブル 年金相談

ハラスメント



ACCESS

〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2-14-2
新陽ビル507号室
TEL 03-6280-3925
>>お問い合わせフォーム
>>詳しいアクセス情報

ページTOPへ