現在68歳、繰下げ中の現役被保険者が選べる選択肢は| 年金相談の現場から-2024年9月|社会保険労務士法人 オフィスサポート


年金相談の現場から

現在68歳、繰下げ中の現役被保険者が選べる選択肢は



Q
 現在68歳で会社経営をしています(女性)。老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰下げ中です。友人から「遡って一括して年金をもらえる制度が始まった」という話を聞きました。以前年金事務所に相談に行ったときに、「あなたは給与が高いから年金が支給停止になりますね」とも言われました。現在、会社から30万円の報酬が支払われています。今後どうしたらいいのか、教えてください。



  A

【特例的な繰下げみなし増額制度とは】


 まず「遡って一括して年金をもらえる制度」とは、「特例的な繰下げみなし増額制度」のことだと思います。この制度は、令和5年4月から始まった制度で、繰下げ受給している者が、“70歳到達後に、さかのぼって本来の年金の受給を選択した場合は、請求の5年前の日に繰下げの申出をしたものとみなし、その時点まで繰下げた(増額された)5年分の年金を一括して受給できる“という制度です。
 たとえば、72歳まで繰下げをしていた者が、急遽お金が入用になって、遡ってもらいたいと思ったときに、この制度を申し出ることによって、5年前つまり67歳に繰下げの申出をしたとみなし、2年分の増額された年金が5年分もらえるということです。ということは、「72歳までの繰下げ=7年分の繰下げ=58.8%の増額」をあきらめ、「67歳までの繰下げ=2年分の繰下げ=16.8%の増額」にまで減額してしまうことを覚悟のうえで「一括受給」を選ぶということです。  


【在職老齢年金制度の改定】


 在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金の受給権者が、厚生年金の被保険者等である場合に、その者の報酬(総報酬月額相当額※)と年金月額(※)に応じて、年金の全部または一部が支給停止される制度です。支給停止の仕組みは、60歳代前半と65歳以降で異なっていましたが、令和4年4月以降、同様の仕組みとなりました。
 総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額を12で除した額とを足した額です。基本月額とは、老齢厚生年金の1月当たりの額です(年額を12で除した額)。
 「総報酬月額相当額+基本月額」が48万円以下の場合は年金は全額支給され、48万円を超える場合は超えた額の2分の1が年金額の支給停止となります。
 あなたの場合、かりに賞与がないとみなすと、総報酬月額相当額は30万円で、基本月額は10万円前後と思われます。その両方を足しても48万円以下ですので、年金は支給停止されず全額支給されることになります。以前、年金事務所から言われた「報酬が多いので年金は支給停止になります」というのは、法改正前(令和4年4月前)の時点での相談だったと思います。

 高齢者の方の選択肢はいくつかありますので、正確な知識をもって、ベストチョイスするようにして下さい。

 

※上記は、2024年9月時点の回答です。

【個別の状況をご相談ください】
年金制度は複雑ですから、個別の状況をお聞きして、親身に相談にのり、請求実務を承ります。老齢年金、障害年金、遺族年金等、実績は多数あります。

【報酬】
・相談・書類作成料3万円(消費税別)。
・実際に支給決定された場合、上記に加えて、年金額(年額)の2ヶ月分(消費税別)を頂戴します。
・残念ながら不支給となった場合には、3万円以外のお金はいただきません。

【お問合せ】
お気軽にお問合せください。
TEL:03-6280-3925 FAX:03-6280-3926
お問合せフォーム



時言 労使トラブル 年金相談

ハラスメント



ACCESS

〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2-14-2
新陽ビル507号室
TEL 03-6280-3925
>>お問い合わせフォーム
>>詳しいアクセス情報

ページTOPへ