年金相談の現場から

妻が遺族厚生年金を受給できる条件は?



Q
 私(55歳、男性)は、近く妻(60歳)と入籍する予定です。30年以上会社勤めをしてきましたが、障害等級2級の障害年金の受給権も有しています。私が死亡した場合、妻は遺族年金をもらうことはできますでしょうか?逆に、妻が死亡した場合、私が遺族年金をもらえますか?互いに確認しておこうということになりましたので、お聞きします。



  A

【遺族厚生年金の受給要件】


 まず遺族基礎年金は、18歳年度末まで(または障害1・2級に該当する場合は20歳まで)の子を有する場合に受給できますので、お子さんはおられないと思いますので受給できません。では、遺族厚生年金ですが、死亡した者と遺族それぞれの受給要件は次のようになっています。
<死亡した者の範囲…次のいずれかに該当する場合>
 ①厚生年金保険の被保険者の死亡
 ②厚生年金保険の被保険者であった間に初診日がある傷病により、初診日より5年以内の死亡
 ③障害厚生年金の1級または2級の受給権者の死亡
 ④老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格期間(原則25年以上)を満たしている者の死亡
 あなたの場合は、少なくとも③または④に該当しています。
<遺族の範囲>
 死亡した者によって生計を維持されていた(年収850万円以上の収入を将来にわたって得られないと認められる場合)①配偶者・子、②父母、③孫、④祖父母です。ただし、妻以外の者については、以下の年齢要件があります。
 夫、父母、祖父母⇒55歳以上であること(60歳になるまで支給停止)
 子、孫⇒18歳到達年度の末日まで、または障害等級1・2級に該当する20歳未満(婚姻していないこと)
 以上から、まず妻については一切の年齢要件がありませんから受給することができます。夫については、現在55歳ということですので、受給資格はありますが、支給開始年齢は60歳です。


【遺族厚生年金の額と中高生寡婦加算】


 遺族厚生年金の額は、死亡した者がもらっている(もらえるはずだった)老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。また、妻の場合は、中高齢寡婦加算の対象(但し65歳まで)となると思います。中高齢寡婦加算とは、遺族基礎年金が支給されない(あるいは支給し終わった)妻に対する所得保障ですが、年額583,400円(令和4年度価格)です。  


【老齢給付との併給調整】


 65歳になるまでは、遺族厚生年金をそのままでもらうことができます。ところが、65歳になると自らの老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を持ちます。それと遺族厚生年金との併給調整がどうなるのかということです。
 考え方は、まず自分の老齢厚生年金が優先的に全額支給されます。そのうえで、自分の老齢厚生年金の額と遺族厚生年金の額との間に差額があった場合には、その差額部分が遺族厚生年金として支給されます。
 夫の場合、多くの場合は自分の老齢厚生年金の額が遺族厚生年金の額よりも多いため遺族厚生年金は全額支給停止となるケースが多いようです。逆に妻の場合は、「自分の老齢厚生年金の額+遺族厚生年金(差額分)」となるケースが多いです。

 

※上記は、2024年1月時点の回答です。

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