年金相談の現場から

在職老齢年金と「二以上事業所勤務届」



Q
 2つの会社で取締役をやっており、そのうちの1つの会社で社会保険に加入しております。近く65歳になるため、老齢厚生年金をもらえると思うのですが、この場合、在職老齢年金の制度上、2つの事業所で支給されている報酬を合計して判断されることになるのでしょうか?



  A

【在職老齢年金とは】


 会社の経営者などは65歳を過ぎてもなお在職している方が多く、在職老齢年金の適用の対象となります。この制度は、総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+直近1年間の標準賞与額の1ヵ月分)と年金月額(老齢厚生年金額の1ヵ月分)とを合算した額が、47万円以内であれば年金は全額支給されるが、47万を超える場合は徐々に年金額が支給停止される制度のことを言います。計算式は次のようになります。
 年金支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+年金月額-47万円)×1/2

 年金月額は、年金機構から届くハガキなどをもとに、年額を12で割ることで算出されます。総報酬月額相当額は、会社としてどれぐらいの給与を支払うか、支給停止にならないように給与額を減らすことも一つの選択ですし、あまりそれを気にせず引き続き高い給与を支給し続けるのも選択としてあり得ると思います。


【「二以上事業所勤務届」とは】


 2つ以上の適用事業所に勤務している場合、「二以上事業所勤務届」を提出することが義務付けられています。この届出を出すことによって、①加入する適用事業所をどちらにするかを選択し、②社会保険料は2カ所以上の事業所の合計額を支払う、③報酬額に応じて負担額は案分することとする制度です。
 ただし、複数の事業所に勤務している場合でも、片方の職場での勤務が週30時間未満の就労時間で、社会保険加入義務のない場合はこの届を提出す必要はありません。会社の役員であった場合、代表取締役(いわゆる経営者)である場合と、名ばかり経営者である、つまり実質的には労働者と同じように働いている場合とでは扱いが変わってくるでしょう。経営者の場合は、就労実態は関係ないので、両方の事業所に勤務している旨の届出が必要となります。しかし名ばかり取締役の場合は、就労時間(週30時間以上かどうか)や報酬額(月額8.8万円以上かどうか)によって加入する義務があるか、ないかを判断します。
 なお、社会保険加入条件は、中小零細企業(現在は、従業員数100人以下、2023年10月以降は従業員数50人以下)の場合、週30時間が基準となります。一定規模(従業員数101人以上、従業員数51人以上)の会社になると、週30時間ではなく、週20時間以上の就労実態がある場合に加入させることになります。

 以上のことを考慮して、給与額の設定や、「二以上事業所勤務届」の可否を判断してください。  



 

※上記は、2023年8月時点の回答です。

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