年金相談の現場から

遺族厚生年金の受給要件とは



Q
 三十数年間連れ添った夫が死亡し、妻である私が遺族厚生年金の請求をしたところ、却下されてしまいました。なぜなのでしょうか。年金事務所からの説明を聞いてもよくわからないのですが。



A

【死亡した夫の側の要件】


 遺族厚生年金は「死亡した者の要件」と「遺族の要件」の両方を満たさなければなりません。亡くなられた側は次のいずれかに該当している必要があります。
 ① 厚生年金保険の被保険者が死亡(在職中に死亡)
 ② 厚生年金保険の被保険者であった間(在職中)に初診日がある傷病により、初診日より5年以内に死亡
 ③ 障害厚生年金の1級または2級の受給権者が死亡
 ④ 老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡(いずれも原則25年以上の受給資格期間を満たしていること)

 夫さんは①から④のいずれかに該当していますか?

 Qさん:夫は長く会社に勤めていて、死んだときには老齢厚生年金を受給していました。
 A:では④の要件に該当しているということですね。この場合、保険料納付要件は問われません。


【遺族の範囲】


 次に遺族の要件です。夫が死亡した当時、夫によって生計を維持されていた①配偶者・子、②父母、③孫、④祖父母が遺族の範囲です。あなたは第一順位である配偶者で、かつ「妻」ですから夫や父母、祖父母、子に問われる年齢要件も問われません。ちなみに、夫、父母、祖父母、子、孫については下記のような年齢要件が問われます。

◎夫、父母、祖父母・・・55歳以上であること(なお、60歳になるまで支給停止となります)。
◎子、孫・・・18歳到達年度の末日までの間にあること、または20歳未満であって障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していないこと。

 だとすると生計維持要件の方を検討してみましょう。生計維持要件というのは、①生計が同一であったかどうかと、②収入要件の2つがあります。生計同一要件とは、世帯が一緒である場合と、世帯は別だけど仕送り等によって生計を維持されていた場合とがあります。住民票が一緒の場合は、生計同一とみなされますが、どうだったのでしょうか?

 Qさん:住民票は一緒でした。
 A:生計同一関係にあったということですね。

 収入要件とは、①年収850万円以上または②年間所得655.5万円以上の収入を将来にわたって得られないと認められる、という基準です。通常、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書等によって前年の収入、所得がわかりますので、それで判断されます。また、仮に前年度に収入・所得の基準を上回っていても、近く退職するとかの事情がある場合は「将来にわたって得られない」とみなされるので大丈夫です。

 Qさん:不動産による家賃収入がありました。
 A:家賃収入はある程度不動の収入となりますから、それが基準を超えていたということだと思います。念のため、もう一回年金事務所に確認されてはどうでしょうか。

 

※上記は、2023年1月時点の回答です。

【個別の状況をご相談ください】
年金制度は複雑ですから、個別の状況をお聞きして、親身に相談にのり、請求実務を承ります。老齢年金、障害年金、遺族年金等、実績は多数あります。

【報酬】
・相談・書類作成料3万円(消費税別)。
・実際に支給決定された場合、上記に加えて、年金額(年額)の2ヶ月分(消費税別)を頂戴します。
・残念ながら不支給となった場合には、3万円以外のお金はいただきません。

【お問合せ】
お気軽にお問合せください。
TEL:03-6280-3925 FAX:03-6280-3926
お問合せフォーム



時言 労使トラブル 年金相談

ハラスメント



ACCESS

〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2-14-2
新陽ビル507号室
TEL 03-6280-3925
>>お問い合わせフォーム
>>詳しいアクセス情報

ページTOPへ