年金相談の現場から

令和4年4月から60歳台前半の在職老齢年金制度が60歳台後半の制度と同じに



Q
昭和32年6月生まれ(男性)で、現在64歳、厚生年金保険の被保険者です(経営者)。63歳から特別支給の老齢厚生年金(年額で約100万円)の受給権が発生したものの、昨年は給与が高かったため年金が全額支給停止となってしまいました。今年は、給料を月額17万円にしたところ、年金が全額支給される見通しです。年金収入は毎月8万3千円です。このままだと65歳以降の生活面で多少不安があります。



A

【在職老齢年金制度とは】


 在職老齢年金とは、60歳台前半又は60歳台後半の老齢厚生年金の受給権者が、厚生年金保険の被保険者である場合に、その者の報酬(総報酬月額相当額)と年金月額(基本月額)に応じて、年金の全部又は一部が支給停止される制度です。支給停止の仕組みは、60歳台前半と65歳以降で違います。
 用語の意味ですが、「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額を12で除した額の合算額のことです。「基本月額」とは、老齢厚生年金額(加給年金額を除く)を12で除した額のことです。
<60歳台前半の在職老齢年金>
 総報酬月額相当額と基本月額の合算額が28万円以下の場合は、支給停止されることなく年金は全額支給されます。合算額が28万円を超える場合は、徐々に支給停止され始めます。例えば、総報酬月額相当額が47万円以下で、基本月額が28万円以下の場合、「(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2」の額が支給停止となります。
<65歳以降の在職老齢年金>
 総報酬月額相当額と基本月額を合算して、47万円以下の場合は全額支給されます。47万円を超える場合は、超えた額の2分の1が支給停止されます。


【令和4年4月からの65歳以降と同じ制度に】


 現行制度は、支給停止調整開始額が、60歳台前半の場合28万円、65歳以降は47万円ですが、法律が改正され、令和4年4月から60歳台前半も47万円になり、支給停止の仕組みも65歳以降と同一となります。
 働きながら年金も支給停止されずもらえる方向に少し制度が拡充されたと言えます。もちろん60歳台前半に老齢厚生年金をもらえるのは、男性の場合昭和36年4月1日生まれの方までで、女性の場合昭和41年4月1日生まれの方までです(これ以降の生年月日の方は、60歳台前半の老齢厚生年金は受給できない世代となります)。


【65歳からは年金額が毎年増える仕組みに】


 令和4年4月から年金額の改定ルールも変わります。いままでは、退職時、65歳時、70歳時にしか老齢厚生年金額は改定されませんでしたが、従来の改定時期に加え、働いている期間に納めた保険料額に応じて、65歳以降については毎年10月にも改定されることになりました。


【ご質問の不安に対して】


 ご質問された方は、今年の給与を下げて老齢厚生年金を満額もらえるようにされたようですが、来年4月からは総報酬月額相当額と基本月額の合算額が47万円までは支給停止になりませんので、毎月の給与を38万円程度に上げても老齢厚生年金が満額もらえます。ご検討してみてください。
 また、年金額も65歳になった時とそれ以降毎年10月に改定される予定ですので、多少は生活不安が解消されるかと思います。また、65歳からは老齢基礎年金も受給できます。
   

※上記は、2021年7月時点の回答です。

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