年金相談の現場から
遺族厚生年金の計算の仕方と将来の生活
Q
夫は会社の経営者で、もう72歳になります。私と18歳離れています(私は54歳)。
将来のことを考えると、夫が万が一の際の遺族年金も含めた見通しを教えていただけないでしょうか。
先日、区役所に相談に行ったら、「月3万円ちょっとの年金しかもらえませんよ」と言われ、ショックだったので。
夫の年金額と私の年金加入期間は、年金事務所から来た書類によれば次のとおりです。
夫
・老齢厚生年金額 2,018,087円
・加給年金額 389,800円
・支給停止額 318,787円
妻
・厚生年金加入期間 ゼロ
・第3号被保険者期間 19年
ちなみに子どもは現在25歳です。
A
【遺族年金の計算】
遺族厚生年金は、死亡した人の報酬比例額の4分の3です。
その際、加給年金額は除いて計算します。
また、支給停止額は、夫が70歳まで加入していた会社で引き続き役員をやっておられ一定の報酬を得ているため、60歳台後半の在職老齢年金制度が適用されることによるものと思われますので、その額はもらっている老齢厚生年金額に加算して計算します。
以上から、次の計算となります。
{老齢厚生年金額(2,018,087円)+支給停止額(318,787円)}×3/4=1,752,656円
【中高齢寡婦加算が支給される】
お子さんが25歳ということは、遺族基礎年金を受給することはできませんね。
遺族基礎年金は原則として18歳までのお子さんがいる場合に支給されますので。
その代わりに支給されるのが中高齢寡婦加算といわれるもので、40歳から65歳までの間に受給できるものです。
あなたの場合は54歳ということですので、65歳の自分の老齢基礎年金を受給するまでの間支給されます。
金額は遺族基礎年金の4分の3、585,100円(平成31年度価格)です。
【本人の老齢基礎年金】
65歳になるとあなた自身の老齢基礎年金が合わせて支給されることになります(その代わり中高齢寡婦加算は65歳までですので支給されません)。
第3号被保険者期間が19年ということは、40年払った場合の支給される満額の約半分となります。
区役所が言っていた「月3万円ちょっとしか出ない」というのは、現在の納付記録をもとにした老齢基礎年金額のことだと思います。
あなたはまだ54歳ですので、60歳まであと6年間ありますし、60歳以降65歳まで任意加入して払い続けることもできますので、満額になるべく近づけるために、あと11年間国民年金保険料を払うように努力してください。
仮にあと11年間払えば、合計約30年間納付となりますので、満額の4分の3の額=約60万円支給されます。
【合計額はどうなる】
夫が万が一のとき、もらえる遺族厚生年金が約175万円。中高齢寡婦加算が58.5万円。65歳までは年額で233万5千円、月額約19万5千円。
65歳以降は、遺族厚生年金額と老齢基礎年金額の両方が支給されますから、もし65歳まで保険料を払い続けたとするなら、年額で約235万円、月額約19万6千円支給されるはずです。
もちろん今のままだと(今後保険料を払わなければ)、その分老齢基礎年金額は増えません。
なおマクロ経済スライドにより年金額が少しずつ目減りしていきますので、この計算はあくまでも現時点での概算額とご理解ください。
※上記は、2019年9月時点の回答です。
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