年金相談の現場から

64歳でまだ裁定請求していないが大丈夫か? 役員報酬と年金との調整は?



Q
 会社を経営していて現在64歳です。

友人から「年金の請求を遅らせれば年金額が増える」と聞いたことがあり、まだ年金請求をしていません。
現在役員報酬として月40万円、年金見込額が老齢厚生年金120万円、老齢基礎年金67万2千円という通知が最近来ました。

いま請求すれば全額もらえるのでしょうか。



A

【繰下げ請求して増額されるのは65歳からの年金】


「年金の請求を遅らせる」ことを繰下げ請求といいますが、この制度はあくまでも65歳からの老齢年金に適用されるもので、60歳台前半の老齢年金には適用されません。

それどころか、60歳台前半の老齢年金の請求があまりにも遅くなってしまうと、時効(5年)にかかってしまいもらえたはずの年金がもらえなくなってしまいます。

なお65歳からの老齢年金の繰下げは、66歳以降70歳までの期間請求することができ、1ヵ月につき0.7%増額します。
あなたの場合、120万年の老齢厚生年金を70歳で請求すると、「60ヵ月×0.7%」ですから42%増額し213万になり、老齢基礎年金は95万4千2百円になります。ただし、繰下げ請求している間に万が一死亡してしまったら、何にも年金をもらえないことになりますから、単純に繰下げがいいとも言い切れません。


【60歳台前半の年金と65歳の年金は別の年金】


あなたの年齢(昭和29年生まれ)の場合、61歳から老齢厚生年金の報酬比例部分の請求権が発生します。まだ時効にかかっていませんから、いまから請求すれば間に合います。

60歳台前半の年金請求をいまやっておくと、65歳の老齢厚生年金と老齢基礎年金の請求は簡単なハガキ形式の様式となり、必要事項を記入して年金機構に送り返すことになります。
つまり、60歳台前半の年金と65歳以降の年金は別の年金ですので、2回年金請求をすることになるのです。


【役員報酬と年金との調整】


厚生年金保険の被保険者として役員報酬や給与をもらっている方は、在職老齢年金制度によって一定の年金額の調整が行われます。
60歳台前半の場合と65歳以降とでは年金額の調整の計算の仕方が違います。

60歳台前半の場合、標準報酬月額相当額(標準報酬月額と直近1年間の賞与の1ヵ月分を足した額のこと)と老齢厚生年金の月額を足した額が28万円を超えたときに少しずつ年金額が調整(減額)され、65歳以降の場合は、上記の額が46万円を超えたときに調整が開始されるというシステムです。

あなたの場合の現在の年金支給停止月額は「総報酬月額相当額40万円+年金月額10万円-28万円」×1/2=11万円となりますから、年金は全額支給停止となります。65歳以降もいまの報酬のままだとすると、「40万円+10万円-46万円」×1/2=2万円ですから、月額8万円の老齢厚生年金と5万6千円の老齢基礎年金を受給できます。これはあくまでも概算ですので、詳しくは年金事務所に聞いてください。


※上記は、2018年12月時点の回答です。

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