時言
「ガラスの天井」は破られたのか
史上初の女性の総理大臣が誕生した。女性の社会的活躍が見えない壁に阻まれていることを表現した「ガラスの壁」が、ついに破られたという評価がなされている。一方、「ガラスの崖」なのではという声もある。これは、組織や企業が失敗のリスクが最も高い危機的状況では、女性が男性よりもリーダー的なポジションにつきやすいとされる現象だ。
気になるのは高市首相が就任早々に「労働時間の規制緩和」を検討するよう厚労大臣に指示を出したとするニュース。高市氏は総裁選時から、罰則付きの残業の上限規制について緩和する考えを示してきたが、近年、政府が進めてきた「働き方改革」が後退しかねないと懸念の声が上がっている。高市氏は「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」と宣言した。首相であるご自身がよく働くのはともかく、過労死が国際語「karoshi」にもなった日本の労働者の働きすぎを規制し、バランスのよい労働環境をつくるのが政治家の責任ではないだろうか。
2025年11月