時言
障害年金請求依頼増加の背景
1.私の個人的経験だが、昨年秋ぐらいから障害年金請求の依頼が10件以上立て続いている。社会保険労務士になってから20年を超えるが、いままで年数件の依頼はあったものが、これほどの依頼はなかった。名乗らない方が電話で問い合わせてくるケースはさらに多い。
2.年代的には大半が30代の若者、しかも多くは女性である。彼らは「3つの無縁」に置かれていると言われる。①「家族の無縁」(困窮時に支援してくれる家族が支援してくれない)、②「地域の無縁」(相談できる友人や相談先が生活圏内にいない)、③「制度の無縁」(公的扶助、支援制度を利用できない)。だから我々専門家の役割もあるのだが。
3.背景に格差社会、貧困の増加、生きづらい社会情況があることは間違いない。最近出た本で『貧困と脳―「働かない」のではなく「働けない」』(鈴木大介、幻冬舎新書)は、自ら脳梗塞の後遺症として高次脳機能障害となった著者の経験が書かれていて興味深い。「貧困とは『不自由な脳』(脳の認知機能や情報処理機能の低下)で生きる結果として、高確率で陥る二次症状、もしくは症候群とでも言えるようなものなのだ」と言う。自己責任論では解決できない問題である。
4.専門家としての知識、経験を生かして、障害年金を受けられ少しでも生活の足しになれば、我々の本来の役割の一つになると思っている。
(鎌田)
2025年2月