時言
人手不足~採用と定着は車の両輪
1.企業にとって労働力不測の解決は主要な経営課題となっている。帝国データバンクによれば、人手不足倒産は、2021年111件→2022年140件→2023年260件とうなぎのぼりである(もちろん法的倒産件数だから廃業等は含まれない数である)。
2.同じく帝国データバンクの企業の意識調査では、賃金改善見込みが「ある」と答えた企業は6割にのぼる。2021年度42.0%→2022年度54.6%→2023年度56.5%→2024年度59.7%とこれもうなぎのぼりだ。賃金改善とは定期昇給は含まれず、ベースアップや賞与の増加のみの数である。賃上げ原資のない企業は淘汰されつつあるという厳しい現実が突き付けられている。
3.マイナビが発表した「2025年卒大学生活実態調査」によれば、新卒学生の企業選択のポイントは、1位「待遇面(給与、休日休暇制度)」22.8%、2位「社風や働く社員がよい・よさそう」22.6%。「残業はできるだけしたくない、するとしても残業分の給料はすべて出る(みなし残業や固定残業による給与体制は避けたい)」ということのようだ。
4.一方、公益社団法人全国求人情報協会の「入社1年半時点の就業意識の実態調査」によれば、実に52.4%が転職意向を持っているという。入社直後から、より良い待遇を求めて転職を考えているのである。
5.こうなるとざるで水を汲んでもこぼれるだけ。採用と定着は実に車の両輪である。新人を定着させるための、待遇、担当者の配置などいままでにない工夫が必要になっている。
2024年4月