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「人手不足」倒産の急増


1.東京商工リサーチが発表した2023年上半期(1~6月)の倒産件数では、中小企業の「人手不足」倒産が過去2番目の67件だった。これは法的倒産の件数だから、廃業等の数は含まれないので実態はもっとより深刻であろう。
  67件の要因別内訳は、求人難が27件、従業員退職が16件、人件費高騰が24件。コロナ禍で流出した人材は、資金力のある大手企業に流れ、中小企業では人手不足が深刻である。さらに、人材確保と従業員の定着には賃上げが不可欠だが、資金力に乏しい企業では人件費上昇が資金繰り悪化を招き、人件費高騰による倒産が急増している状況である。産業別内訳は、運輸業19件、サービス業他18件、建設業13件。いわゆる労働集約型産業が、人手不足の影響をもろに受けている。

2.全体の倒産件数は4,042件で、3年ぶりの4,000件台となった。産業別では、資材費高騰の影響が大きい建設業が785件、輸入物価高の影響が大きい製造業459件、燃料高の影響が大きい小売業が434件、人手不足倒産の典型として飲食業424件と続く。コロナ期の21年、22年は手厚い資金支援で倒産が抑えられてきたが、ゼロゼロ融資の元本返済が7月から本格化するので、今後の倒産件数は増大し続けると予測されている。

3.日経新聞(7月11日付)は、「中小企業に淘汰の波」と一面で大きく報道した。中小企業にとって、実力が問われる時代である。






2023年7月

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