時言
CPIと体感物価上昇率
1.2022年度の消費者物価指数(CPI)は、前年度比3.0%の上昇で、上昇率は41年ぶりの水準だという。一方、日本銀行のアンケート調査によると、家計が体感する物価上昇率はCPI上昇率を大幅に上回る12%超だったという。
2.たしかに物価高の中でも実質消費支出は小幅に増加しているようだ。新型コロナウイルスによる行動制限がなくなったもとで、「外食」や「教養娯楽」、「被服及び履物」など消費が持ち直した費目がある。他方、「光熱・水道」や「家具・家事用品」や「食料(外食を除く)」という必需的な費目では実質消費支出が減少している。必需的な費目が消費出全体に占める割合は、低所得世帯ほど高い。値上げに対する家計の負担感は他の世帯よりも大きい。
3.物価上昇の背景には、円安やロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の上昇、物流コストの上昇などがあった。それも落ち着きつつある。しかし、いったん値上がりした商品はすぐには価格が下がりにくい。賃上げがどこまで進むのか、消費者の悲鳴とのせめぎあいが続く。
4.帝国データバンクによれば、5月の「物価高倒産」は67件となり、3ヵ月連続で60件を上回った。建設業、製造業、運輸業などが多い。原材料高、人件費上昇、エネルギーコストの上昇などがコストアップの要因だ。ここでも物価高と収益改善とのせめぎあいが厳しい状況だ。
2023年6月