時言
ユニクロの賃上げ
1.ファーストリテイリング(ユニクロの運営会社)が、3月から国内正社員の賃金を40%アップする、初任給を25万5千円から30万円にするという大幅賃上げを発表した。海外の社員と同一水準にするというものだから、今まで日本の社員がいかに低賃金を強いられてきたかということでもあるのだが。
2.12月の実質賃金(名目賃金から物価上昇率を差し引いたもの)はマイナス1.9%。これで10カ月連続の実質賃金マイナスである。国民の消費支出もマイナスとなっている。このマイナスのスパイラルを抜け出さなければ、「貧しい日本」は、土地も、技術も、国民の頭脳もますます海外の食い物にされるであろう。貧困のスパイラルである。
3.岸田首相もさすがに大幅賃上げを呼び掛けている。それに応える企業も少なからず生まれるだろうが、日本の企業の大半を占める中小企業は賃上げの体力がないのが大半だろう。そこの対策を抜きにしてはマイナスのスパイラルからは抜け出せない。
4.賃上げした企業には、増加分の最大40%分を法人税から差し引くという。しかし、黒字の中小企業は数少なく、この恩恵にあずかるのはわずかしかいない。助成金とかも一時的な恩恵でしかなく、いっときのうま味で大幅賃上げが進むとも思われない。賃上げをすれば当然社会保険料等の企業負担も増える。社会保険料の減額措置も含めた抜本策が必要となっている。
2023年1月