時言
人権意識欠如の極み
1 静岡県裾野市の私立保育園(さくら保育園)で、保育士3人による園児への、宙づり、カッターナイフで脅す、倉庫に閉じ込めるなどの虐待行為があったことが発覚し、それを隠蔽しようとした園長含めて書類送検された。同様の事件は富山県の私立認定こども園でも起きた。
2 愛知県警岡崎署では、45歳の男性が、140時間以上拘束され、複数の署員による暴行、持病(糖尿病)の薬が投与されないなどの結果死亡した。名古屋の刑務所では、22人の刑務官が3人の受刑者に対して暴行を重ねていたことが発覚した。自衛隊内での女性隊員への性的暴行事件、入管施設での度重なる死亡事件など、公務員による人権蹂躙、暴行事件、死亡事件が相次いでいる。
3 弱い者への人権蹂躙、暴行は、虐待事件、ハラスメント事件と通底している。昨年度の児相への虐待通報件数は20万件を超え、ハラスメントによる退職者は昨年だけで87万人にのぼる。これらの事件の一つひとつに対して厳正な対処は必要だし、それを抜きにした連鎖反応は避けなければならない。同時に、これらの事件の背景にある根深い問題にメスを入れなければならない。職場環境、労働時間の長さや負担の重さからくるストレスなどもある。人権教育システムの確立も必要だ。単なる個別の厳罰主義だけでは解決は遠い。
2022年12月