時言
コロナ感染拡大期における女性の自殺者の増加
14日、政府は令和4年版自殺対策白書を公表した。日本の自殺者数は、平成10年に3万人を超え、その後平成22年に減少に転じ、令和元年は最小の2万169人まで減少していた。令和2年に増加に転じ、令和3年は2万1,007人で前年比微減だった。
令和2、3年はコロナ感染拡大期であり、その中でも男性は12年連続で減少しているが、女性は令和2年に続き令和3年も増加した。感染拡大前5年平均自殺者数を比較してみると、男性自殺者数は令和2年にマイナス884.2人、令和3年に1159.2人減少している一方、女性自殺者数は令和2年に370.2人、令和3年に375.2人増加している。
内閣府の調査では、「夫婦ともにフルタイム就業であっても、仕事のある日の家事時間は、妻は夫の2.0倍程度であり、仕事のない日でも1.8倍程度」だという。新型コロナ感染拡大前と比較した家事にかける時間は、配偶者のいる女性でさらに増加している。有職女性の自殺増加の背景には、こうした事情も関連しているようだ。
一方、無職の女性自殺者の増加の背景には、有効求人倍率の低下が統計的に関係していることが判明している。生活困窮対策や社会的セーフティネットの拡充が必須の課題となっている。
男女問わず若年層(「~19歳」「20~29歳」)における自殺が増加している。G7の自殺状況を若年層の死因順位から見ると、死因順位の第1位が「自殺」となっているのは日本のみでる(他国は「不慮の事故」が第1位)。教育のあり方も含めた対策が必要ではないだろうか。
2022年10月