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「物価高倒産」が急増


1.帝国データバンクが8月8日に公表した調査結果によれば、「物価高倒産」は1―7月累計116件と、2018年1月の調査開始以来で最多だった21年(138件)を大幅に上回るペースだ。業種別では、燃料費の高止まりの影響が大きい運輸業、「ウッドショック」と呼ばれる木材や資材高を受けた建設業が目立つ。燃料、原材料、物流コストが高騰する中、価格転嫁が難しい中小・零細企業中心にさらに増加する恐れがあるという。

2.物価高の要因は、①新型コロナウイルス感染拡大の影響(経済停滞や人手不足による影響、大規模な財政措置による急激な需要喚起等)、②食料に関しては天候要因の影響、③ロシアによるウクライナ侵略、④為替相場の変動が物価高騰を更に深刻化させている、などが指摘されている。中小企業の7割はコスト上昇分の価格転嫁について「まったく転嫁できていない」(中小企業白書)。物価高騰がそのまま利益減少となる。

3.介護事業倒産も大幅に増加している。コロナ禍前の水準に利用者が戻らず売上不振があるばかりか、コロナ支援策の縮小の下で人材確保に難航し、食材や衛生用品の値上げ、光熱費の上昇によるコスト増が響いている(東京商工リサーチ)。

4.構造的な要因に対しては抜本的対策が求められる。日本の一次エネルギー自給率はわずか11%とG7の中でも突出して低い。エネルギーの高騰や安定供給の不安につけ込んで、石炭火力と原発に依存しようという流れは愚策といわざるをえない。




2022年8月

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