時言
東電株主代表訴訟判決
津波対策を怠ったために東京電力福島第一原発事故が防げなかったとし、東電株主38人が、東電の旧経営陣5人に、東電に対する22兆円の賠償を求める株主代表訴訟で、東京地裁は7月13日、勝俣恒久元会長ら4人の過失を認め、計13兆3,210億円を東電に支払うよう命じる判決を言い渡した。
国が公表した地震予測は科学的信頼性を有する知見であったと認定し、また大規模な防潮堤以外に建屋の水密化等の対策を容易に着想実施できたとした。重大事故に至ること避けられた可能性は十分にあり、取締役としての「善良な管理者の果たすべき注意義務」を怠ったと批判した。6月17日の最高裁判決で、国の責任を認めないとした直後にだされた画期的判決である。
原発に携わる者は、事故を起こしたら13兆円の損害賠償責任を課される、仮に判決が確定したら、勝俣氏らは自己破産するしかないことになる。そうした恐怖を経営者に与えたのである。
政府は、電力不足を理由に、一気に原発を稼働させるという。しかし、原発は最も“危ない”電力であるばかりか、最も“金のかかる”電力とならざるを得ない。自然エネルギーへの抜本的転換しかないと思うのだが。
2022年7月