時言
GDPマイナス1.0%の打開策は?
1 内閣府は2022年1-3月期のGDP(国内総生産)が実質マイナス0.2%、年率換算でマイナス1.0%だったと発表した。GDPの多くの部分を占める家計消費支出はマイナス0.1%。雇用者報酬は実質0.4%(名目マイナス0.7%)。物価高騰と異常な円安は、とくに低所得層に影響が大きい光熱費、食料品の値上げという打撃を与えている。
2 一方、厚労省は雇用調整助成金と産業雇用安定助成金の支給状況を発表した。直近の1週間の雇用調整助成金の申請額、支給額は前週よりかなり増えている。とくに鉄道や航空などの交通インフラ、外食を含めた小売・宿泊業などの対面サービスなどは、コロナ前の水準に需要・業績が戻らず助成金受給が長期化している。
3 日本経済の打開策はどこにあるのか。小手先の対応では打開できないことはたしかである。消費税の減税と最低賃金の引き上げに踏み込めるかどうかにカギはある。2021年度の最低賃金は全国平均930円。年収でおよそ170万円、ワーキングプアの水準である。主要国では、イギリスが4月に9.5ポンド、フランスが5月に10.85ユーロ、ドイツは10月に12ユーロ、アメリカロサンゼルス市が16.04ドルへと引き上げる(1ユーロ=1482.68円、直近レート)。日本円でおよそ1500円~2000円のレベルである。
4 コロナ禍でも増え続けているのが大手企業の内部留保。ここへの適正な課税により中小企業の社会保険料の事業主負担は減らすことができ、賃上げの原資は確保できるはずである。
2022年5月