時言
入管行政の抜本的改善の時期が来た
年明けの1月13日、難民申請中の外国人2人が、「裁判などの審査がないまま入管施設に長期収容されるのは、国際人権規約に反する」として、国に3,000万円の損害賠償を求めて、東京地裁に提訴した。昨年は、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が名古屋入管で死亡する事件が起き、2019年には、入管収容施設に長期収容中であったナイジェリア人男性がハンガーストライキ中に餓死する事件が起きた。
そもそも出入国管理における収容は「最後の手段」としてのみ行われるべきで、在留資格を得られていない外国人の収容を「原則として行う」日本の入管行政は国際人権規約に反する。被収容者への対応は入管のみ権限を持っており、収容期間の上限もない。
もともと在留許可を得ること自身が狭き門で、在留資格を得られず日本にいれば即「不法滞在」扱いされる。難民認定は国際的に日本は極めて狭き門となっている。昨年政府が提出した入管法改正案では、いままでの難民申請中の者については強制送還しないという扱いを変え、一部強制送還を認めるというものだった。もしそうなれば送還後の生命・人権への重大リスクが生じることとなる。
さいわいこの改正案を政府も取り下げざるをえず、事実上廃案となった。いま世界的に国の人権問題に対する態度が問われている。入管法及び入管行政の抜本的改善は、日本の国際的地位に影響を与える問題である。
2022年1月