時言
後継者難倒産が年間最多か?
1.東京商工リサーチ社によれば、2021年1~11月の後継者難倒産は350件(前年同期比2.9%増)に達した。いまのペースだと2020年の372件を超える可能性も出てきたようだ。全体の倒産(5,526件)に占める割合は6.3%で、前年同期(4.7%)を1.6%上回った。資本金別では1千万円未満が184件で52.5%、負債額1億円未満が246件で7割を占めた。小・零細企業を中心に中堅規模でも事業承継が経営課題となっていることを示している。
2.代表者の「死亡」、「体調不良」が圧倒的である。たしかに全国の企業約400万社の代表者の平均年齢は62.49歳(2020年末)。中小企業は代表者が経営全般を担うことが多く、代表者が崩れれば即企業倒産となるリスクが高い。この間のコロナ禍もあって、厳しい経営状況にある企業は後継者育成が後回しにされてしまう。業種別にみても、サービス業(広告業、建設設計業、美容業、旅行業、娯楽業)、製造業、不動産業の増加が目立ち、コロナ禍の影響が大きい業種が深刻である。
3.コロナの一服状況下にある中においてはもちろん、仮に変種株によるコロナ急増があったとしても、当面の経営だけに振り回されない経営のかじ取り、後継者対策が急がれる。
2021年12月