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トヨタ社員の労災認定判決と労災認定基準の改正


1.トヨタ自動車の社員だった男性(当時40歳)が2010年にうつ病で自殺したのはパワハラや過重労働が原因だったとして、男性の妻が労災として認定しなかった豊田労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決が16日、名古屋高裁であった。原告の請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を取り消し、労災を認める逆転判決を言い渡した。

2.男性が海外工場の生産準備など複数の業務を抱える過密労働があったうえ、上司に大声で叱責されるパワハラを受けていた。高裁判決は、労災認定基準の改正で2020年に新設された「社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃」を考慮しパワハラによるうつ病発症を認定した。

3.一方、脳・心臓疾患の過労死認定基準も、2021年9月14日付で20年ぶりに改定された。従来、監督署の過労死認定は、直前の時間外労働が100時間(直前1か月)、80時間(直前2~6か月)あったかどうかを唯一の基準とする傾向があった。今回の改定では、労働時間だけでなく「労働時間以外の負荷要因」を合わせて総合評価して労災認定するとされた。拘束時間や連続勤務、インターバルの短さ、不規則勤務なども負荷要因とされる。他にもいくつかの基準見直しがなされ、正式にリーフレット等も発表された。

4.過労死をめぐる長期にわたる遺族たちの裁判闘争、運動がこうした改正につながったことは間違いない。今後の労務管理においてもよくよく考慮されなければならない。





2021年9月

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