時言
尾身発言の危うさ
1.政府の基本的対処方針分科会会長の尾身茂氏は、17日、コロナ感染において「個人の行動を抑制できる新たな法的な仕組みを検討すべき」と発言した。これを受けて菅総理は「検討したい」と応じた。一方、東京では、夜8時以降営業している飲食店に対して、都職員が警察官を連れて抜き打ち検査を行った。これは飲食店にとっては、恐怖感を与えている。「新たな法的仕組み」とは、こうしたやり方を合法的にする仕組みに突き進むことかと危惧してしまう。
2.飲食店にしてみれば、補助金が全く支給されず、家賃だけは支払わなきゃならない状況の下で、夜の営業は命を守るやむにやまれないことだと思う。補償なき要請は、医療界に対しても同じで、しかし強権だけは発動しようとしても反発を招くだけである。
3.帝国データバンクは、新型コロナ関連倒産が1900件に上ると発表した。飲食店(314件)、建設・工事業(190件)、ホテル・旅館(106件)、食品卸(100件)、アパレル小売(86件)と続く。約4割が今年の3月以降に発生し、緊急事態宣言の影響で今後も増加し続ける見込みである。中小零細のいわゆる「息切れ倒産」の増大である。この数はコロナ関連だけの倒産数で、他の倒産も含めれば今年は7000件ぐらいになると予想されている。
4.こんな時になぜ国会は閉じられたままなのか。全会派が一致するまともな法的仕組みを望んでの尾身発言と推測するのだが。
2021年8月