時言
野村総研が実質的失業者・女性103万人、男性43万人と推計
1.新型コロナウイルスが雇用に与えている影響について2つの調査が相次いで発表された。1つは、厚生労働省によるもので、雇用調整の可能性がある事業所数が累計126,612箇所、解雇見込み労働者数99,765人。業種では、製造業、小売業、飲食業、宿泊業が多い。これは「都道府県労働局の聞き取り情報や公共職業安定所に寄せられた相談・報告書を基に」集計したものである(4月2日現在集計)。
2.もう1つは、野村総合研究所が3月1日発表したもの。そこでは、パート・アルバイトの中で、2021年2月時点での「実質的失業者」は、女性103万人、男性43万人と推計した。20~59歳のパート・アルバイト就業者64,943人からインターネットアンケート調査したものからの推計数である。パート・アルバイトのうち、「シフトが5割以上減少」かつ「休業手当を受け取っていない」人を「実質的失業者」と定義し、総務省の「労働力調査」を用いて推計したものである。
3.野村総研の調査では、「実質的失業者」の約5割が「シフト減でも休業手当を受け取れること」や「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のことをまだ知らないという結果も明らかとなった。
4.企業が休業させたときに休業手当を支払ったときに企業宛に支給されるのが雇用調整助成金。休業(シフト減も含む)させて企業が休業手当を支払わなかったとき、本人が申請できるのが休業支援金・給付金。厚労省の発表では、雇用調整助成金申請件数が昨年4月~今年3月の間に308万件。休業支援金・給付金の申請(7月~3月)が152万件。雇用調整助成金の方が圧倒的に多い。ところが、この3月に限ると休業支援金の申請件数が29万件で雇用調整助成金の申請件数(25万件)を上回っている。もはや企業に頼れず、生活がにっちもさっちもいかなくなった人たちの実態が浮き彫りになる。
2021年4月