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同一労働同一賃金をめぐる10月の最高裁


1.10月15日に日本郵便事件の最高裁判決、10月13日にメトロコマース事件と大阪医科薬科事件の2事件の最高裁判決が出る。いずれも同一労働同一賃金をめぐる注目裁判だ。

2.日本郵便事件は、佐賀、東京、大阪の契約社員らが同一労働同一賃金と損害賠償を求めた事件で、既に高裁段階での判決は出され、住居手当、扶養手当についての格差は不合理と判断されている。残された争点として注目されているのは、夏季冬季休暇をめぐる格差である。東京高裁は格差は不合理としたが、大阪高裁は「雇用が5年を超える」場合については格差は不合理とした。この5年超ルールは妥当なのか? 原告弁護団は、有期雇用労働者が5年近く働くと企業から契約を打ち切られる事態が生まれることへの懸念を表明している。

3.東京メトロの売店で働いていた元非正規労働者の裁判の注目点は退職金問題。高裁は、「正社員と同じ基準による額の4分の1」について認めている。大阪医科薬科大事件は賞与をめぐる争い。秘書として勤めていた元アルバイト職員の女性は、担当する教授らの数は正職員よりはるかに多かったのに賞与等がなかったことを訴えた。高裁では、「正職員の支給基準の60%は必要」と判断した。

4.個々の裁判の争点はもちろん注目されるが、同時に問われているのは旧来型の日本型長期雇用システムを維持して守るのか、非正規労働者を長期的戦力として使うのか、格差があってよいのか、である。持続可能な経済社会のあり方は、コロナ禍のもとでより鋭く問われている。





2020年9月

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