時言
WITHコロナの覚悟
1.新型コロナウイルスの蔓延への経済対策とともに、コロナ後の経済対策を長期的視野で考えなければならない。コロナウイルスは根絶されるわけではなく、期待されるワクチンも数年先と言われている。世界はWITHコロナの覚悟を持たなければならない。
2.政府は新しい生活様式の確立を呼び掛けている。たしかに、自宅勤務、テレワーク、時差出勤などコロナで築かれた生活様式は、不合理だった長時間労働をなくすきっかけとなりうるし、その後に生かせるものがある。
3.しかし、政府の経済対策からは、コロナで浮き彫りになった日本経済の弱点を克服する方向が見えてこない。この間、日本の公的医療の弱体化が浮き彫りになった。保健所の削減、公的医療施設の削減、医療器具等の不足はドイツなどと比べてあまりに貧困であり転換が求められる分野であろう。食料自給率の低さ、資源・生産の海外依存度が高すぎることも解決しなければならない。
4.コロナで世界の環境は大きく改善された。大気汚染は50%も改善され、インドで30年ぶりにヒマラヤ山脈が見えるようになった、ハワイにウミガメが戻ってきたというニュースが流れる。世界はコロナ後の環境を重視し始め、フランスは航空便の近距離路線の減便を要請、カナダは温暖化ガス削減の取組みに融資する、中国は電気自動車購入補助を延長、スイスは太陽光発電設備の助成金を増額する。日本の経済対策にはこうした視点がいまのところない。
5.オリンピックやIR(カジノなどの統合型リゾート)を起爆剤に経済復興するという路線は破綻が見えている。オリンピックは開催が危ぶまれ、カジノは世界で次々閉鎖されている。冷静なWITHコロナの経済対策を考える専門家会議でも作ったらどうか。
2020年5月