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大規模「早期・希望退職」募集の背景


1.東京商工リサーチによると、2019年に早期・希望退職を実施した上場企業は延べ36社、対象人数は11,351人。
社数、人数は過去5年間で最多を更新した。
多い順に、富士通(2,850人)、ルネサスエレクトニクス(1,500人)、東芝(1,410人)、ジャパンディスプレイ(1,200人)と続く。
2020年以降の実施では、食料品、消費財、小売業の業界大手が予定しており、製造業ではデータ解析やマーケティングなどの専門領域の人材確保のための中途採用を増やす一方、営業社員などをリストラする。
製薬業などは増収増益の中での「先行型」のリストラ計画を進めている。


2.朝日新聞によればベテラン社員がやる気を失っている現実を取り上げ、「働かない」中高年のことを若者たちは「妖精さん」と名付けているらしい。
若者たちは「働きに見合わない給与をもらう社員がいると社内で不公平だ」「会社にとって無駄で、コストを上げている」と思っているようだ(デジタルアンケート結果)。
世代間対立の意識である。


3.政府の「働き方改革」の目的はもともと2つある。
一つは労働時間を抑制する施策、もう一つは労働時間規制の柔軟化。
2つ目の目的が掲げられた背景には、就業者全体の約5割がホワイトカラー化している現実から、“労働時間ではなく成果で処遇すべき”という使用者側の命題がある。
中高年者に対してしきりに「セカンドキャリアの形成」「社外組織での活躍」と呼び掛けるのはそのことである。


4.しかしヨーロッパ諸国のジョブ型雇用(仕事で雇用されるシステム)と、日本のメンバーシップ型雇用(企業に人生をささげる雇用の仕方)との違いを踏まえた議論になっていない気がする。
振り回されるのは中高年齢就労者である。



2020年1月

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