時言

世界から「人身売買」と評される外国人労働者政策


1.厚労省は、平成30年に技能実習生を雇う事業所への監督指導結果を公表した(8月8日)。
約7割の事業場で労働基準関係法令違反が認められたという。
内容も、過労死基準を大幅に超える長時間労働、残業代単価が1時間500円、労災隠し、パスポート取り上げ、給与からの異常に高い家賃の天引きなどなどである。

2.日経新聞が社説(8月24日付)で技能実習制度の廃止を主張した。
「単純労働力を日本に受け入れる裏口」「構造的な問題として…労働者としての基本的な権利を奪われている」との指摘はもっともだ。

3.この間日本の外国人労働政策を問う報道が増えている。
9月18日のNHKクローズアップ現代は、外国人労働者の急増に伴い外国人の子どもたちも増えているにもかかわらず、日本政府は外国人の子どもを義務教育の対象から外し自治体任せにしている。
その結果、外国人の子どもたちの児童労働が増えていると告発した。入管収容施設でナイジェリア人が死亡した事件は、いまだ死因不明とされている。

4.イギリスBBC放送は技能実習生の実態を告発し、アメリカ政府は外国人労働者を支援するNPO代表兼労組幹部の鳥居一平氏を「人身売買と闘うヒーロー」として表彰した。
NHKプロフェッショナル・仕事の流儀は鳥居一平氏を紹介する特集だった。

5.すでに日本で働く外国人労働者は273万人にのぼる。
その場しのぎの単純労働力受け入れ政策の結果、世界からは「人身売買」と批判されていることを真摯に受け止めなければならない。



2019年9月

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