時言
「人」として受け入れるのか、「雇用調整弁」でしかないのか?
政府は外国人の新たな在留資格として「特定技能」を設け、外食、介護、建設等の14業種に配置するため出入国管理法改定案を発表した。
新制度には、現在の技能実習者の多数が移行する計画だ。
現在日本の外国人労働者は128万人(平成29年10月現在)、日本の就労人口のうち約50人に1人が外国人労働者。
外食産業などではもはや外国人抜きに産業として成り立たなくなっている。
ところがその外国人労働者のうち、就労資格のある者はわずか19%で、就労資格ではない留学生や技能実習生が40%を占めている(他は永住者等)。
もともと「技能実習」制度は、本来「開発途上国への技能移転」を目的としているはずである。
しかし実態は、最低賃金以下(時給300円というのも多い)の廉価な労働力として活用され、パスポートを取り上げられたり、職場の移動も認められないなど無権利状態に置かれている。
背景に本国の送り出し機関に多額の保証金を支払わされ、権利侵害に対しても声を上げないと約束をさせられているという問題がある。
政府は、「特定技能」は「移民ではない」という詭弁で、家族帯同を5年間認めないという非人道的な態度をとる。
すでに多民族・多文化の共生社会は始まっている。
それにふさわしく外国人労働者を「雇用調整弁」としてではなく、「人」として受け入れるべきである。
そのためにはブローカー等が介在する制度ではなく、国として責任を果たす制度にしていかなければならない。
2018年11月