時言

雇止め、パワハラ相談が激増

「連合」がこの2月、3月に行った労働相談の結果を集約し発表した。非正規雇用者による雇止めに関する相談、正規・非正規問わずパワハラに関する相談が増えているという。

<非正規雇用者向けの労働相談の結果>
一つ目の集計結果は、2月9日~11日の「全国一斉労働相談キャンペーン」で、対象はパート・アルバイト・契約・派遣などで働く人向けの電話相談。これによると、相談件数876件中、1位「雇用契約・就業規則」(12.2%)、2位「解雇・退職強要・契約打切」(11.2%)。具体的には「1年契約の契約社員として4年間勤務している。今年の契約更新時に『2018年2月以降、契約更新をしない』と言われた」「5年以上働いてきたが『2018年3月末で契約終了』と言われた」など、「雇止め」に関する相談が多かったという。
2018年4月1日から始まる「無期転換ルール」(労働契約法18条。5年を超えた有期契約者は無期契約に転換する申込み権があり、使用者がこれを承諾したとみなす制度)を目前に控え、企業から突然「雇止め」を通告されるケースが増えている実態があるようだ。しかし、法律上、企業がこうした形で突然「雇止め」を通告したり、雇用契約書に「次回で契約を打ち切る」と書き込んだとしても、その効力はないものとみなされる。今後、非正規労働者が雇止めに抵抗して行政に申告する例や裁判を起こす例が急増することが予測される。

<「なんでも労働相談ダイヤルの結果>
二つ目の集計結果は、3月の「なんでも労働相談ダイヤル」の集計である。正規・非正規問わず全体を対象とした相談で、全体1,309件のうち、「セクハラ・パワハラ・嫌がらせ」の相談が13.6%と最も多く、次いで「解雇・退職強要・契約打切」12.8%、「雇用契約・就業規則」10.4%の順である。
「上司のパワハラで2年間で10人も退職している。そのため人手不足で、休みも取れず、病欠中でも『早く出てこい』と電話がかかってくる」「パワハラを受けて、労働局から助言・指導をしてもらったが、エスカレートしたので退職することにした。退職届の理由にパワハラと書いていいか」など。
「いじめ・嫌がらせ」はすでにこの数年間、都道府県労働局への相談件数で最も多い相談内容になっておりその結果とも合致する。経営者自らがパワハラ体質というケースもあるが、意外に経営者自身が職場におけるパワハラの実態を知らずにその対策を打てていない場合が多いようだ。

ひとたび「ブラック企業」という批評が出始めると、それを打ち消すことは容易でない。そのことが結果として企業の首を絞めることになる例が相次いでいる。企業も慎重な対応をすることだ。
2017年4月

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